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□■ 雨の劇場
2008/06/01 23:42
 すみません。季節外れの猛ラッシュのため、決してこんなことを書くのだけは避けようと心に誓っていた「最近こんなことがありました」的な文章でお茶を濁します。

 世界的な禁煙ブーム、というかもはや禁煙文化ともいえる強烈な向い風のなか、喫煙を続けるのは鋼のごとく強靱な精神力を要する。自分を褒めてやりたい。
 職場のような閉鎖空間で一服するのでは休憩した気になれないので、散歩を兼ねて駅前の喫煙所まで出かけてタバコを吸うことにしている。特に条例などは出ていないものの、最近駅周辺には「歩きタバコ禁止」の表示がいやに目立つようになり、その喫煙所は鋼の勇者たちにとって憩いのオアシスになっている。「逆風だが共にがんばろう」と仲間意識を確認するための紳士の社交場だ。暑かろうが寒かろうが雨が降っていようが、必ずこの喫煙所まで行くようにしている。自分を褒めてやりたい。
 豪雨のときなどは、デカい灰皿の前に俺一人だけというのも珍しくない。傘をさしているとはいえ、膝から下をズブ濡れにしながら根性で一服する自分にうっとりだ。

 先日も雨のなか、休憩しに駅前まで出かけた。いつものようにタバコを吸いながら、そろそろtaspoを申し込もうか、次のまうログ何を書こうか、など思いを巡らせていた。
 煙と雨の香りに包まれながら、なんとなく周りを見回してみる。この悪天候だが、駅前なのでそれなりに人がいる。スーツ姿の人たちがタクシー待ちの列を作っていたり、子連れの若奥様が雨宿りをしたり、エレベータ乗り場で高校生がたむろしたりしている。
 見慣れた光景だ。しかしなんともいえない違和感があった。
 結構な雨降りのなか、傘をささずに突っ立っている人が妙に多いのが理由だと判明した瞬間、その手ぶらの彼らが俺の方に一斉に駆け寄ってきた。
 突然のことに、何が起こったのかわからない。
 結果からいうと、どうやら俺の数歩後ろで反社会的な組織の方々がいけない取り引きをなさっていたようだ。雨に濡れていた彼らは私服の警察関係者で、現場を押さえるために待機していたらしい。十数人の屈強な男たちに囲まれ、その筋の二人は観念したのか抵抗する様子もない。もちろん俺は何の関係もなかった。
 しばらくすると、パトカー数台がけたたましくロータリーにやってきて、あっけなく彼らを連れ去ってしまった。ほんの数分だったが、警視庁密着24時のような臨場感あふれる捕物劇を特等席で鑑賞できた。

 もう見るべきものはないことがわかると、野次馬たちも散っていく。
 俺も「世間の流れでそのうちタバコも違法薬物に指定され、喫煙を続けるためにはあのように綱渡りをしなくてはいけない日が来るのだろうか」と自分の中できれいにまとめて職場に戻ろうとした。
 すると駅舎から一人のビジネスマンが出てきて、雨の具合はどうだろうと天を仰いだ。
 こんな感じ。

 もう、これ以上ないというほどのオーバーアクション。これがツボにはまった。
「ミュージカルか」
 普段はボケに徹している俺が思わず小声で突っ込んでしまった。
 どうやら彼に聞こえてしまったらしい。雨に遅れて登場した主役は、ひどく恥ずかしそうにしていた。
 おしまい。

 ごめんなさい、次回はちゃんとネタを披露します。
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