2025/05/14 12:01
|
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
2007/04/01 01:03
|
幼い頃、漫画家に憧れた人は多いと思う。 少年もそんな中の一人だった。雑誌の付録についてきた「まんが入門」を聖典と崇め、「基本は4コマ」「起承転結を大事に」との教示を受け、ノートに彼なりの作品を書きためていた。 しかし、納得がいかない。4コマ目に「ギャフン!」なんてセリフが出てくるマンガは押し並べて面白くない。心が揺れない。魂が震えない。 「行儀よく真面目なんてクソくらえと思った! 何が起承転結だ! 大人の決めたルールなんてまっぴらだ!」 少年はルールが大嫌いだった。それは「赤信号で渡ってはいけないよ。ルールを守ろうね」という内容の絵本『ルールくん』を学校の図書室で借り、再三の警告にもかかわらずルール無用で三年間返却せず、とうとう図書担当のK先生が彼の自宅まで取り立てに来たということからも明らかだ。 教室の掲示板、学級新聞の左隅に舞台を移して少年の4コマ戦争は始まった。 そう、これはワープロで「へいせい」と入力しても平静や兵制としか変換してくれない、どころかワープロなんて普及していないような時代の話。 四半世紀以上の時を超え、彼の戦いが今、甦る……。 ───────────────── ※すべての画像はもちろん本物ではなく、記憶を振り絞って可能な限り再現したものです。(小粋な演出上サムネイルは消してあります。順にクリックしてください) [01−1] [01−2] [01−3] [01−4] 記念すべき第一作。 概ね男子には「おもしろい」と好評で、女子には「わからない」と不評だった。男と女は別の生き物なのだと知る。性の目覚めだ。 この後「打ったボールが頭に当たる編」「自転車で轢かれる編」「自動車ではねられる編」など数回にわたって掲載される。どれも3、4コマ目の展開はすべて同じだ。ただ、3コマ目の男の頭にタンコブがあったり[02−3]、タイヤの跡があったり[03−3]と多少の変化は見られる。自動車事故の回などは血だるまであり[04−3]、現在ならR-12指定は避けられない。 どれも概ね男子には「もっとやれ」と好評で、女子には「ええかげんにしときや」と不評だった。 ここで予想外の事態が発生する。次号発行のタイミングで誕生日を迎える生徒が多く、「おたんじょうびおめでとう」コーナーが巨大スペースを占有し、彼の戦いの場は縮小を余儀なくされてしまうのだ。 「身長マイナス110が理想体重というけれど、それはあくまでも目安」てな感じのマセた記事を書いているM(女子)に「おまえの体型で言うても説得力ないんじゃ。スペースよこせ!」と紳士的に交渉したにもかかわらず、Mは授業を放棄して泣きながら帰ってしまった。後で担任と一緒に謝りに行った。 「女子全員を敵に回してしまった今となっては4コマは無理。1コマだ」 一応の打開策は出た。しかし1コマ漫画を描いた経験がない。頼れる助っ人が必要だ。 [05] 「だから何を?」の疑問はともかく、どんなコスチュームなのか不明だったのでわざわざニチイの寝具売場に行き、この助っ人がプリントされている枕をスケッチしたという意欲作だ。 ちなみに少年はこの番組を祖父と一緒によく見ていたのだが、毎度毎度「これ先週の再放送か?」とわかってるくせに尋ねてくるジジイにうんざりしていた。なお、祖父のお気に入りアニメは「新造人間キャシャーン」であり、元海軍航空隊の血が騒ぐのか、ビックリドッキリメカでは何の反応も示さない澱んだ目がアンドロ軍団の行進を見つめるときは輝いていた。 次の号から4コマに戻ったのを機に、満を持して新シリーズが開始される。 [06−1] [06−2] [06−3] [06−4] 「まさか……」 「そのまさかだよ!」 ささやかな希望、甘い幻想を粉砕する攻撃的怪作だ。 この発表直後、担任(Mの家に一緒に謝りに行ってくれたT先生(天使)が産休のため、一時的な担任のN(悪魔))に呼び出され「先生は見てないようでちゃんと見てる」と、わけのわからない説教を受けたことは、教卓横の水槽で死んだ金魚がプカプカ浮いていたビジュアルと相まってM帰宅事件以上に少年のトラウマとなっている。 余談だが数年後、大阪城公園での写生大会にてなんとジプシー教師Nと劇的な再会を果たし、みんなで「死ねクソババア!」と叫びながら石を投げたという心温まるエピソードがある。 しかし彼はくじけない。 前シリーズを踏まえ、今度は3コマ目まではまったく同じで、4コマ目だけを毎回変化させる新作戦を展開していく。 結局やっていることは1コマ漫画と同じなのだが、時に人生には無駄な助走も必要だ。 [07−4] 当時市場に出始めたばかりの斬新な果物との出会いをみんなに伝えたかった。 [08−4] 実在の女子がモデルである。後日「ほくろ姫」「いぼ姫」も登場した。表現の自由をめぐって学級会で問題になった。 [09−4] 大阪ガス、関西電気保安協会やパルナスのバージョンも存在するが、ローカルネタなので控えておく。参考までに、この全国的に有名な建築物は少年の実家の近所にある。 そして最終回。 [10−4] 力強い文字に込められた決意が心地よい。このへんの感性は今も昔も変わらない。自分で思い出してもホッとする瞬間だ。 ───────────────── 今回の話、特にオチはないです。こういうところは四半世紀以上の時を超え、今も変わらないのです。 PR |


![]() |
|

![]() |
トラックバックURL
|
忍者ブログ [PR] |
