蝉がいつの間にか鳴きやんで、
秋もいよいよ深まってきましたね。
作月は穴をあけてしまい失礼致しました…
言い訳のしようもございませんが、
記念すべき三十路初の誕生日も一日仕事をしているくらい、
ばたばたしていまして…余裕の持てる三十路を目指して日々精進!
の今日この頃です。
さて、「建築とお茶」第2段です。
今回は目白・池袋地区にある自由学園明日館(みょうにちかん)を訪れました。

背景に見える池袋の喧噪は遠くはるか。
目白の閑静な住宅街を自転車で通り抜けると、静かなたたずまいの建築物が現れます。
地域の人々が代わるがわる行き来をしています。訪れた日は、なにかのサークルの集まり、講座が開かれていたようです。
自由学園明日館はフランク・ロイド・ライトの設計の建築。
1921年、いまから87年前です。ライトは帝国ホテルの設計のため来日していたのですが、その助手をしていたのが遠藤新。
遠藤新の友達、羽仁吉一、もと子夫妻は自由学園校舎、明日館の設計をしてくれる人を探していました。
そこで遠藤がライトに夫妻を引き合わせ、ふたりの考えかたに深く共鳴したライトはこの
建築の設計をした、ということです。
この建物の前の細い道路を隔てた講堂(設計:遠藤新)と合わせて、
自由学園明日館は国の重要文化財(1997年5月)に指定されています。
観覧料を渡して、ふらりと学校のなかへ。
どこもかしこも、随所に設計者のこだわり、
もしくは管理するひとたちの、ここを守っていく人の暖かみが感じられます。


柱の梁部分。
こんなかたち見たことないです。
こんな美しいものがこんな目立たないところに…
アメリカの建築家なのに日本の心意気を感じます。

こんな椅子に座って授業を受けてみたい!
もちろん座ってみました。
しかし、椅子の面積が無言の抵抗をするのでちょっと座ってみて終わりにしました。
年齢制限を感じたので。

明日館の講堂。
射し込む光のなんと美しいこと。
ここは撮影などの用途でも使われていて、最近では行貞勲監督の「クローズドノート」の一場面でも登場していました。(あのエリカ様騒動の映画ですが…映画はとても、とても良かったです。ちょっと素直に涙します。)


一般公開の日は、講堂でお茶が頂けます。
晴れた日に、静かな光を眺めながら。
お金はあんまりかからない、贅沢な時間です。
重要文化財に訪れるたび、
こんなたいそうな冠をつけられてはいますが、
エラい訳でもなんでもないと感じます。
けして批判の意味ではなく。
守るべき、人生の中で目に入れる、感じる価値のあるものだから
その大切な物をみんなで一緒に守っていこう。
守るとは、管理するとか寄付するとかだけではなく
「その存在を忘れない」といったことも含まれるような気がします。
「忘れない」ためのしるしとして
冠がついているのではないでしょうか。
忘れなければ、そのひとのなかではずっと存在する訳で。
そんなことをとりとめもなく考える、日だまりの中の一日なのでした。
【次回は東京カテドラル(丹下健三:東京・目白)の予定です】
南
PR