女は、生まれた時から「女」である。
いや、生まれた時というのは言いすぎだったか。
言葉を話し始めるようになり、自我が芽生えた頃には、既に「女」としての特性が現れていると思う。
どんな特性かと言っても、それはその人それぞれ。着飾ることへの興味だったり、やたら世話好きだったり、「美」に対する執着だったり。
男にも其れなりの特性が現れているのだろうけど、女は言葉が達者なだけに、その発露が強く感じられるような気がする。
もちろん、みんながみんなではないけれど。
息子の、保育園のお迎えに行ってた頃はすごかった。
保育園は幼稚園と違って、お迎え時間はバラバラである。母親の退勤時間がそれぞれ違うからだ。
一人、また一人とお迎えに訪れる友達の母親を、女の子はきちんとチェックしている。
女の子にとって、他人の母親は興味の的なのだ。
自分の母親、先生が『日常』の顔なら、友達の母親は仕事帰りの余所行きの顔を持ったまま現れる”女の人”なのだ。
ちょっと、いつもと違うナリをしていようものなら、すぐさまチェックが入る。
チョコチョコと近寄ってきて数人で取り囲み、
「○○ちゃんのママ、この□□(アクセサリーなど)かわいー!」
とか、
「きょうはスカートはいてるんだね!似合うー!」
とか。
とにかくよく見ている。
男の子しか育てていないワタシにとっては結構なオドロキだった。一応自分もかつては女の子だった筈なのだけれど、こんな行動を取った覚えはない。小さい頃から着飾ることに頓着無かったということか。
ワタシも何回か取り囲まれたことがある。
ミニのスカートをはいて行った時。髪を結って行った時。
髪を結った時は耳が露わになったので、女児達の注目の的は私が付けていたピアスであった。
ワタシのピアスは、女性らしくも無ければ可愛らしくもない。
形もシンプル、物によってはゴツい。しかも一旦付けるとなかなか外せない。
そう、いわゆるボディピアスというやつだ。


それを、右に二つ、左に三つ。計五つ。
そんな無骨な装飾品を、女児達は興味津々に見つめ、「トキヤ(息子)のおかーさんコレかわいー」「すごーいたくさんついてる~」と言いながら弄くりまわすのだ。
ピアスを見た時の反応は、女児と男児では明らかに違う。
彼女たちは概ね、既に自分の母親などによって、ピアスは装飾の重要アイテムであること、かわいいアクセサリーを付けるためには穴開けの時の痛みもちっとくらいは我慢するものだということをインプットされている。
自分も大きくなったら付けてみたい、と思いながら向ける眼差しは真剣そのもの。
男児は違う。
ウチの息子もそうだが、ただアクセサリーなんぞを付けるだけのために体にキズを、しかも穴を開けてしまうなんて信じられない!といった反応を示す子がほとんどだ。十中八九、「ねー痛くないの?なんでこんなことするの?」と疑問を口にする。
実はワタシも、かつては男児派だった。少なくとも成人するまでは。
なのに、今、この両耳には五つの穴が開いている。
他のアクセサリーや服装を褒められた時は、「ありがとー!」とか「○子ちゃんの□□もすごくカワイイよー」とか言って盛り上がれるのだが、ピアスのことを言われると途端にリアクションに戸惑いが生じてしまう。
なんか、イケナイものを見せてしまったような気持ちになるのだ。
このツブラな瞳に、こんなものを映してはいけないのではないかと思ってしまうのだ。
このピアスの穴を、開けた時の光景を思い出してしまうからである。
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すみません、今回は時間切れとなってしまいました。
またまた本題に入る前に第一回終了です。
次回はきちんと書き終えますので…ユルシテユルシテ(泣)
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