2025/05/16 09:22
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2007/05/22 18:59
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■真夜中の日原林道 この日どのような理由でドライブに出かけよう!ということになったのかは全く覚えていない。 しかし、一番印象に残るドライブとして僕の記憶に残っている。 メンツは想田さん、諸さん、僕の3人。 車はリッセ。諸さんの運転で助手席が想田さん。後ろ一人が僕だった。 僕らは真夜中を奥多摩に向かって走り出した。 ドライブはなぜ楽しいのか?...それは、見たこともない車窓、目的地への期待、気持ちの良い車の加速感などと共に、道中の様々な話が楽しいということが挙げられるだろう。 いや、ほとんどがそれだと言っても過言ではない。 このドライブもそうであった。新青梅街道をひたすら走り、新歓ハイクでおなじみの川井を通りながら、街の中を走る間、車内はいつものように盛り上がっていた。 しかし青梅街道から逸れ、日原の方へと車が進み、まわりに電灯が少なくなる山道に入ったとき、諸さんがこう言った。 「いやー、俺この前も一人でここドライブ来たんだけんども、なんかさぁここらへんって同じ様なカーブで同じ様な木が多いから、何度も同じところを走ってる気がしてきて恐くなったんですよ。で、車内のライトを付けて走ったら、ミラー現象で自分とか車内が鏡みたいに写って余計に恐くなっちまったんすよ。」 その辺から、話の話題が変わりはじめた。 「お前ホントに同じところを走ってたんじゃないの?」 「おいらん峠とかは、そうやって道に迷うことが多いんだよ。」 「やめてくださいよー。」 そんな話題から、想田さんが 「そう言えば、この前何かの本で読んだんだけどさぁ、日本の童謡って、実はスッゲー恐い話だっての知ってる?」 と言って、日本の童謡の話をし始めたのだった。 ・・・かごめかごめ、ってあんじゃん。あれは妊婦の話なんだよ。 かごのなかのとりはいついついでやる・・・つまり子供が産まれるのを待ち望んでいるんさ。 だけど、よあけのばんにつるとかめがすべった、ってことは流産しちまうんだ。 突き落として流産させられたととることもできるらしい。 うしろのしょうめんだあれ・・・妊婦を突き落としたのは誰か?・・・ ・・・ずいずいずっころばしごまみそずい、ってあんじゃん。 あれは、子供を井戸に捨てちまう話なんだ。 おとさんがよんでもおかさんがよんでもききっこなしよ、ってところは 親がその子供を狂ったように探し回ってるんだけど、内緒にしなくてはダメだってことで・・・ ・・・とおりゃんせとおりゃんせってあんじゃん。 あれはさあ・・・・ ・・・次々と出てくる恐い童謡の話。 「.....マジ...っすか....?」 諸さんと僕はだまりこんでしまった。 しかもこういう3人でのドライブの場合、当時1年生だった僕は、諸さんと想田さんの会話を後ろの席で相づちをしながら聞き入っている場合が多かった。 声が良く聞こえるように後ろの座席の真ん中に座って、身を乗り出しながら...。 しかし、その場合背もたれと自分の背中に距離が生まれる。 ・・・この距離が恐い。 外は真っ暗闇の山の中。道の所々にはお墓がある。 うしろを振り向くのはもちろん、背中を背もたれに付けることさえ出来なくなっていた。 そうこうするうちに、日原鍾乳洞の駐車場まで行き着いた。 これが今回の目的地だ。 外に出て、少し散策する。 日原鍾乳洞の駐車場をさらに少し歩いてくと、岩肌に穴が掘ってあり、なぜかまるで牢屋のように鉄格子がはめられている。 その奥には数体のお地蔵様がこちらを向いて並んでいた。 先程の話のせいか、ゾッとした。 雨が降った後なのか、その時も小雨が振っていたのかは忘れたが、道は濡れていて、空気はひんやりとしていた。 「あ。」 3人は行き止まりだと思っていた道の先に、未舗装の林道が続いていることに気づいた。 「...行ってみようか。」 恐い思いと、これから何が起こるのか?というドキドキ感。 いや、車に乗り込んだのは、とにかく外に出ていたくなかったからのような気がする。 3人を乗せたリッセ号は、未舗装な上ガタガタで、あちこちに水たまりが残る林道をゆっくり進み始めた。 水たまりを避けながら、しかし道を踏み外すとそこは崖。ガードレールなんてものはない。 落ちないように進む。 道がでこぼこなので、グワングワン揺れる車内。そんな状態の中、想田さんの話は、グリム童話へ移る。 「・・・あれだって、恐ろしい話ばかりなんだ。」 赤ずきんちゃん、 ヘンデルとグレーテル・・・などの話。 殺戮的な内容だった覚えがある。 時折、岩が車の底に「ガン!」と当たって、エンジンが止まった。 衝撃でなぜエンジンが止まるのかは分からない。 とにかく、動き続けてくれ!と祈った。こんなところで取り残されてはシャレにならない。 雨は激しくなったり、やんだりしていた。 林道はところどころ崖崩れが起きた後があった。 ・・・・僕らは生きて帰れるんだろうか?? 漠然とそんなことを考えた。 そんな状況のまましばらく進んだのだが、途中、完全に崖崩れが林道を遮断していて、 それ以上先に進めなくなってしまった。もう引き返すしかない。 ホッとした記憶がある。 あたりも薄明るくなりはじめていた。 「しょんべんでもするか」 車を止めて、3人は外に出ると立っションをした。 ちょっと解放的だった。 しかし、先の木々が「ガサガサッ」と揺れた。 何かの気配。 速攻で車に戻り、諸さんがバックで少し広い場所までバックし、 何回も何回も車を切り返しながら、Uターンした。 さっきの気配は何だったのだろう...。 帰りも何度かエンジンが止まったが、諸さんの慎重な運転でゆっくりゆっくり進んだ。 さすがにこの頃には、想田さんも恐い話はしてなかったと思う。 そうこうするうちに、なんとか鍾乳洞の駐車場へ戻ってきた。 「戻った!!!」 この時の安堵感と言ったら......。生涯忘れられない。 3人に笑顔が戻ったと同時に、貴重な体験をしたという一体感の様なものが生まれる。 さっきまで、もの凄く恐かったのに、すごく楽しかったと思えてくるから不思議だ。 ....とにかくこういうドライブはクセになる。 小さな「アドベンチャー」を体験している気分なのだ。 ドライブに行くとどんな体験が待ち受けているか分からない...。 こんな楽しい遊びがあるだろうか? 次回もドライブの話は続きます。 PR |


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