君たちファミコンは好きかい?ファミコン。
え?私?
もちろんさ。
いいよなぁ、NINTENDOのマリオBros.、KONAMIのグラディウス(オプションは2つまで)、NAMCOTのマッピーにゼビウス(アンドアジェネシスはノースクロール)、ENIXのドラゴンクエスト(復活の呪文は要筆記)に、ポートピア連続殺人事件(犯人はヤス)・・・
・・・何?、知らない・・・?
・・・え?
『時代は今“64bit”!?』・・・
*************
月へ行って帰って来たアポロを4bitコンピュータで飛ばしていた時代を下ることおよそ15年、日本で8bitCPUを搭載した家庭用ゲーム機が登場した。
その名は『ファミリーコンピューター』。
言わずと知れた、である。
ネーミングとはうらはらに「家族の団欒に悪影響をおよぼす」ほど少年達のこころをトリコにし、社会問題にまでなった。
先般このログを惜しまれつつ、
実は自分でも辞めると言っちゃったことを
ひそかに惜しんでいる風がないでもないまま
去って行った某K氏。
彼と私は同い年。
彼自身のライター紹介にあるとおり、
ベビーブーム世代の私たち。
あの功罪半ばするゲーム機と共に成長していった、
業深きファミコンエイデッドピーポーである。
さりながら、この私、実はファミコン所有者ではなかった。
うちの母は、入り浸りになっている友人達の家々にかけるであろう迷惑を気にしながらも、そのころすでに報道され初めていたTVゲームがこどもにおよぼす悪影響の数々を懸念し、決して買っては呉れなかった。
小学生の私に万単位の経済力などあろうはずもなく、「○○ちゃん家は買ってもらえたのになんでウチだけ・・・」と、定型ともいえる鬱屈を抱いていた覚えがある。
だが、母がいかに慧眼であったかは、後年大学生となった私がプレステを手に入れた後の事跡をたどることで分かる。
さてその小学生の私。買ってもらえず悶々としていたそんな折、突然父が
「これからの時代はマイコンだ。マイコンを買うぞ。」と言い出した。
恐らく仕事仲間と夜な夜な飲みながら、
「モロちゃんさ、これからの時代はよォ、マイコンだっつうがな」
などの話を聞いたためだと思われる。
オヤジというものは『これからの時代』という言葉に弱い。
先日も私と飲みながら、「これからの時代はインドだ。北京オリンピックが終わったら中国株を清算してインド株を買おうと思っている。間違いない。」と熱弁を振るっていた。私も「インドもIT関連は成熟期に入って投機性が薄い。これからの時代は流通系だ」などと言っていた覚えがある。血は争えないもの、いや、私もオヤジということか。
話が、逸れた。
「マイコン」である。
今ではマイコンなどと言うことばも聞かなくなった。
いや、“パソコン”ということばすら駆逐されつつある。
今ではPC・「ピーシー」などというが、ダンスホール・ディスコ・クラブが同じ系譜の上にありながらも、そのことばの表すところが時代のニュアンスやディテールまで含めたものであることと同様に、マイコンも独立性を持つことばであると考えるため本稿は以下「マイコン」で通すこととする。
父は先ず学研まんが「マイコン・パソコンのひみつ」1冊を私たち兄弟に買い与え、「これを読んで何を買えばいいか考えろ」と言った。
いくらファミコンエイデッドな私たちとて、当時その存在さえあまり知られていないマイコンのことなど小学生に解るはずがない。
その本は「マイコンをつかってみよう」というHow to的な内容だったのだが、その教材としてTOMY製「ぴゅう太」とNEC製「PC-6001mk2」という2機種が採用されていた。
巻末には「他のマイコンの紹介」というページがあり、この種の書籍においては異例なことに各機種ともきっちりと定価が記されていたため、判断材料として恰好であった。
コモドールCM64、Apple-II、PC-9001(9801ではない!)、ソードM5、シャープMZ-1500・2000などなど、今はもう消えてなくなったメーカーのものも含め色々あったが、軒並み10~20万円超。こどもながらに「ありえない」と思っていた。
必然的に値段もそこそこな「ぴゅう太」か「PC-6001mk2」かの二択となる。
「ぴゅう太」は、今にして思えば実に画期的な「日本語BASIC」というプログラム言語を搭載したマシンだった。
「モシ A>5 ナラバ ヒョウジ“A ハ 5 ヨリモ オオイ”」という具合。
だが私たちは未だその先進性と精神性(ワビサビ)を解するほど成熟していなかったため、無難にNECを選んだ。
ウチのテレビがたまたまNECだったので「NECは大企業」だと思っていた他、なにしろその本のレビューに「これからも楽しいゲームがぞくぞく登場よていだゾ!」などと書かれていたためだ。
私は父に「これがいいと思う」と言った。
父は「なぜこれがいいと思うのか、父さんに説明をしてみなさい」と、
私たちにプレゼンテーションをさせた。
これからの時代、の教育の一環だったのだろう。
もちろん柔軟性に富み抜群の吸収力をもつ小学生の私たち。学研まんがのレビューさながら、他機種に比べこのハードが如何に優れたものでありかつコストパフォーマンスに優れているかを、搭載メモリ数や外部機器の拡張性まで含め説明した。もちろん父に解るはずもないのだが、当然私たちもメモリ数が何バイトであることが何を意味するかなど解ってはいない。
だが父は聞き慣れないセンテンスの羅列に私たちの努力(?)を
見いだしたらしく、満足したようだ。
一ヶ月ほどして、ついに我が家にマイコンがやってきた。
あこがれていたファミコン、ではないが、
「これでゲームが(家で)出来る!」とばかり、
我々は驚喜乱舞。
父は最先端の機器を手に入れた、という自身の先進性にご満悦。
多分夜な夜な仲間に語るつもりなのだろう。
母のみが「この子たちが傾斜しつつある方向」に戦々兢々としていた。
さっそくその年のお年玉で、ゲームを買った。当時¥3,000くらいだったか。
後に堀井雄二と共にあのポートピア連続殺人事件やドラゴンクエストシリーズを手掛ける、中村光一の出世作、
「ドアドア for PC-6001mk2」である。
『あぁ、もうこの感動といったら(恍惚)』
・・・・となるはずだった、のだがどうも想像と違う。
ファミコンならばカートリッジセット、スイッチオンで始まるのだが、当時のマイコンは、『カセットテープ』からプログラムをローディング(転送・読み込み)するのだ。
信じられるか?10代20代の君たち。テープだぜ。プログラム(ファイル)管理の媒体はカセットテープであったのだ。こんにちではカセットテープ自体目にしなくなったというのに。
まあそれはいい。カセットテープがマイコンの主流メディアだということは
学研まんがで習得済みだ。
しかしそのローディング時間の長さといったら、
我々の想像を絶するものだった。
すでに10分は経過している。いつまで経っても始まらないため
最初は「もう壊れたのか」と思ったものだ。
待つこと20分を超えたころ、突然画面が変わる。ロードが終わったのだ。
ホッとしたと同時に、不安を吹き飛ばすような感動に包まれる。
美しい画面だ。さすがフルカラー16色(笑)グラフィック!
だがそれも束の間、無邪気な少年達の一喜一憂は、
すぐさま決定的な失望に変わる。
遅い。鈍い。
なにしろ鈍い。入力反応も、キャラクターの動きも。
愛するファミコンのあのスリリングな躍動感は片鱗も感じられない。
これがマイコンの限界、なのか?ファミコンより高価なものなのに・・・。
そう、スペックは違えどマイコンもファミコンも
現在のコンピューターも仕組みは同じ。
マイコンがマルチタスクの構造設計であるのに対し、ファミコンはゲーム専用。
加えてそのゲームの為に“最適化”されているROMを搭載したカートリッジに、敵うはずはない。
こうして我々はゲーム機としての利用をあきらめ、
その後別の道を模索するようになる。
*************
あぁ、ログのアップが激しく遅れた上に
調子に乗ってこんなに長くなっちまった。
しかもここまで書いときながら実は主題はマイコンファミコンではない
という衝撃の事実。
そもそもタイトルの意味がわかんねぇままだよなこれじゃ。
でもここで終わらせたら「本当にオレが伝えたいこと」が中途半端なままになるし、わざわざ2回に分けて書くような内容じゃない。
あともう少しだけ許してね。
興味のない方はスルーして下さい。
(ってもうあなたはここまで読んでしまったわけですが)
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以下回り道をしながら主題に迫る。
その後模索した「別の道」とは何か?
そう、父が託した想い、これからの時代に対処すべく
プログラミングの習得に励んだのだ。
とは言え、情熱を燃やすその根拠はやはりゲームで、
「自分でゲームを作りたい!」だったのだが。
しかし「ゲームをつくりたい」とは言え、小学生には敷居の高すぎる話。
私は先ず何がしたかったのかというと、『キャラクター』である。
我々こどもたちをTVゲームにグイグイ引き込んだ要素のひとつである
キャラクターを、表示させてみたかった。
マッピーやソルバルウたちを、マイコンの上に再現するのだ。
そのためには「2進数」というものを知らなければならないと、本で知った。
そもそも点テンで表示されるコンピューターの文字やキャラクター。
たとえば「A」の文字は、コンピューターの根本情報である“0”と“1”から、次のように表される。

8×8マスから成り立つ文字が、現在でも「8byte文字」と言われるのは
右図のような構成によるためである。
もちろんカタチだけでなく、色もからむから現実はもっと複雑だが、
要はこの考え方をベースに、マリオもビックバイパーも描かれているわけだ。
0と1。
私は方眼紙に色鉛筆で16×16マスの飛行機や人物を描き、それを「0と1」に置き換え、さらにマイコン入力に必要である16進数という形式に変換するという気の遠くなるような作業を繰り返した。
そのためにマスターしたのが、以下の指折り2進法。
これは別にキャラクターを作る云々でなくとも、
覚えればなんと片手で31まで数えられるスグレモノ。
つまり一月は片手で足りる。
いや、両手の指10本を使えば
2の10乗-1=1,023までカウントすることができるのだ!
・・・まぁ指で1000まで数えねばならない局面が
今後の人生にあるかないかは別であるが。
老化防止には役立つだろう。

・・・・はあぁぁ、タイトルのオチってこんなもんかよ。
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さて、最後の最後にメッセージ。
80,8E,B0,40,80,80,7E,00 78,00,7A,82,02,04,78,00
78,06,00,00,00,80,7E,00 78,00,7A,82,02,04,78,00
20,FC,24,7A,A4,A4,68,00 08,10,20,40,20,10,08,00
40,C0,C0,54,64,C4,46,44 FC,08,10,20,40,40,3C,00
75,0D,00,00,00,80,7E,00 44,44,38,6C,92,92,6A,00
40,40,40,98,AA,CA,8C,00 40,E4,4A,88,9C,28,18,00
10,FE,10,08,88,80,7C,00 80,84,82,82,82,42,60,00
・・・は?何コレ?
つまり、こういうことです。

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