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□■ 胃カメラ体験記:2
2007/01/04 09:00
鼻毛医師が手にしている内視鏡の先端は鋭く光を放っていた。
なるほど、その光で内部を照らしながら撮影するのか。
しかし、先端をクネクネさせていたため、1センチに満たないその先端部の、詳しい仕組みを観察することは出来なかった。

とうとう始まるんですか・・。
やはり、かなりのドキドキだった。
カメラが入ってくることはもちろん、胃の不調の原因を知るのが怖かった。
不安材料をなくすために自ら受けた検査なのに、いざ検査を受けるとなると嫌なことしか思いつかない。常に最悪の事態を想像しているチキンハートな私。
最近では若年世代でもガンになる人が多いと聞く。
検査結果=ちょっとした死刑宣告
となるかもしれない。

検査台で体の左側を下にして鼻毛医師のほうを向くと、パソコンのようなものとモニターが目に入った。
モニターは電源が入っているが、画面中央部が大きく薄ぼんやりと光っているだけで何も映っていない。
もしかしてココに画像が映し出されるのか?
そう思った直後に鼻毛医師が
「はい、じゃあね、カメラ入れますからね。このモニター見ててね」と言い私の顔に内視鏡を近づけた。
あーやっぱり映るんだ。そして一緒に見るんだ。へー。
モニターを見ているとぼんやりとした光が次第に形になっていく。そう、私の顔の形に。魚眼レンズを通してみたような、顔面中央が膨らんだとても残念な変形をきたしている。あわてて内視鏡を見る。カメラはすぐ鼻先にあった。

とてもイヤな予感。

そうこうしているうちにモニターの私の顔は、でかい鼻がさらクローズアップされ、乙女心としては一番目指してほしくない場所である鼻の穴、「漆黒の闇:サンクチュアリ」が大写しになった。
この瞬間が一番恥ずかしかった。しかも医師はその映像を私に見るように言った。

まるで恥辱プレイじゃないですか先生。

鼻にカメラを突っ込まれている映像を同時に見せられていたら、恥ずかしさと悔しさで失神していたかもしれない。

産婦人科の検診のほうがよっぽどいい。へそから下はカーテンで見えないし。カーテンから向こうは別世界にしてしまえばいい。
人間の「自我」は顔が中心であり、顔から離れるにつれ薄れていくものなのだとその時悟った。


漆黒の闇の次に現れたのが当然鼻毛。
しょうがないでしょっ!人間なんだから鼻毛くらいありますわよ。ま、先生のに比べたらまだまだヒヨッコですけどね。先生が胃カメラ入れる時は鼻毛でレンズ傷つけないようにお気をつけあそばせ!

恥辱を与えている医師を心の中で罵倒し続け、精神の均衡を図る。そうでもしていないとやっていられない恥ずかしさ。先生すまんね。

でもこのエリアはあっという間に通過。バサバサっと通り抜けると、あとに広がるのは粘膜の世界。
鼻の奥でカメラが詰まる。かなり狭いが何とか通過。良かった。口からにならなくて。なんて思っている余裕は無かった。

とりあえずモニターに釘付けだった。

これが私の体内か!あまり実感が無い。
カメラが入って行く感覚と映像が、シンクロしているのが不思議な感じ。

鼻毛医師は「今、副鼻腔を通っているね。はい、喉に来ましたー。」と説明しながらズルズルとカメラを入れていく。
説明をうけ、「はい」とか「ええ」とか相槌を打つ私。そう、鼻からの検診だと会話ができるのだ。画期的。

すると今度は、粘膜の行き止まりが見えた。道が狭まり中央に小さな空洞が見える。
「はい、ここがね、気管と食道の分かれ道。真ん中の穴が気管ね。この両脇に食道への入り口があるんだよねぇ。」
鼻毛医師は言ったが、「両脇の道」は良く判別できなかった。

「どっちにしようか。左側から入ってみようか」ゲームを進めるみたいに言うとカメラが穴の左側へ突入。すると喉にモノがグッと詰まる感触が。カメラはすぐに後退、そしてまた前進。再び喉に詰まる。画面まっくら。
「ゴックンして!」
言われるままに喉に詰まったものを飲み込むようにすると、カメラは関門突破、再び通路へ出た。食道である。

全然苦しくなかった。予想外に楽だった。「おげぇ!」も「げほぉっ!」も無い。
経鼻内視鏡バンザイ!

喉までは、まだ「自我」の範疇。気分的になじみのある世界だ。だが、いざ食道に入るとそこはまさにインナースペース。いかにも内臓ワールド。あまり景色は変わらないのだが。カメラが食道に入ってからもしゃべることは出来た。喉に多少違和感があるだけだ。

食道をスルスル進んで行くと、またもや行き止まり。先生、いよいよ本題ですね。
「はい、ここが噴門(胃の入り口)です。はいっていきましょうね。」
巾着絞りのようにつぼまった部分へカメラが突入。ちょっと広い空間へ出た。

胃だ。

突入直後は、押しつぶされたような扁平な空間だったが、医師が手元の操作部をいじると、シュオオオー!という音と共に画面内の空間=胃内部がみるみる広がっていき、同時に強烈な腹部膨満感に襲われる。く、苦しい・・。
どうやらカメラには、胃を風船のように押し広げるために空気を送り込む機能があるようなのだ。

中が膨らんだので、全体を見渡すことができる。

見たところ、胃の中に素人目でも分かるような目立った異常は無かった。
無かったが・・・アレ!?

アレは何!?

同時に鼻毛医師もアレに気付いたらしく、「あ」と小さく声を上げた。

           

                             続く
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