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□■ 春の香り
2007/02/21 12:51
だいぶ空気が和らいできた。
吹く風もどこかまるみを帯びている。
思い切り息を吸い込むと、鼻の奥のほうに春の予感を感じる。
春は一年の始まりを感じる季節だ。
終わりと始まりのイベントがあるからかもしれないが、
年が明けて、加速度的に過ぎていく毎日の中で季節のひと区切りを感じるからだろう。
そんな浮き足立った感じの街中で新入社員や新入生の姿を見かけると、
春の香りとともに少しだけ昔を思い出す。

私は入学式の日に調子にのってダンス部に入部した。
当初、同期は男女半々に数人いたが、
しだいに減り、リーダーは私と宇野君の二人になった。
私の上はリーダーが一人。
その上も一人。
ダンス部の成績もそうだが、常に存続が問題になるサークルだった。

私の代以降にそこそこ人数も集まりだして形だけは整ってきたが、
何より私たちの代は成績が悪く、
その点においてはちっともパッとしない状況は続いた。

成績の悪い理由は様々にあった。
今にすれば、すべて言い訳にしかならない。
もっとうまくやれる方法はあったし、考える時間もあったはずだ。
後輩たちには随分と申し訳ないことをしたと思う。

そんな活動であっても、踊ることは楽しかった。
体を使って表現することは何より魅力的だ。
ダンスは好きで、何より私はダンス部が大好きだった。
手本にもならない私たちが伝えられることは何か。
成績は悪いながらも、妙なパワーだけは満ち溢れていた当時の部活で
試行錯誤は続いていた。

私は常々後輩たちに言っていた。
”お前の代で終わっても良いよ。壊れるくらい楽しんでみたらいい。”
もちろん簡単に壊してもらっては困るのだが、
それくらいのつもりで真剣に楽しめ、と言いたかった。

ムサビのダンス部も長くなった。
伝統とは何なのかは考えたこともないが、
どうにもムサビには似合わない。
常に軽やかに変化するのが魅力の部で、
あえて伝統を口にするのなら、
”つながり続ける”ことを自慢したい。
サークルは人だ。
人のつながりでしか保っていけないものだ。
私は入学式のたった2、3日でもダンス部に関わって、
そこに愛情が持てたなら、それはもうダンス部員だと思っている。
もちろん成績は大事だ。
競技である以上そこに目的がある。
続けることも大切だ。
しかし本質は別にもあると考える。
ダンス部に関わったこと。
そして、それに関わる者たちに愛情をもてたかどうか。

私は過去を振り返るタイプではない。
過去を懐かしんでどうこう言うような気持ちもない。
思い出話は楽しむが、
そこに郷愁を求めたりするようなこともない。
ただ、すべての事柄の延長に今があるのなら、
どんなに無駄な時間を過ごしたとしても、
そこには必ず意味が存在するということだ。
過去に何かを学べども悔いる必要などはない。
ようは、反省すれば良いのだ。
そして私も今度は、言い訳のいらない自分でいようと思う。

春の香りがただようと、私たちには新たな後輩が増える。
くだらないと思える時間の中でも、
壊れるくらいに楽しめばいい。

もうすぐ私たちの後輩たちが社会に飛び出してくる。
そこで過ごした時間とは何だったのか。
社会に出てからのほうが大切に感じるものだ。
そして、私たちはつながっていく。

春の香りがただようと、ほんのわずかな懐かしさとともに、
私はそんなダンス部を誇りに思う。







つづくのだ。
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