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□■ 怖いドライブ(1)
2007/06/15 17:03
みのりさんの記事に触発されまして、今回は僕のドライブ話の中でも怖かったものを紹介します。
楽しいドライブ話は次の機会にまた...。





ドライブ、それはとても楽しいもの。
目的地を定め、その道中の会話、着いた時の何とも言えない爽快感、その場所での出来事...。
暇さえあれば、先輩や後輩を誘い出かけたものである。

前回、諸さんと想田さんで日原の林道に出かけた話をした。
途中スリリングな気分ではあったが、ハラハラドキドキの後それは最高楽しい思い出へと変わった。
しかし、すべてのドライブにおいて必ずしもそうなるわけではない。
今日はそんなお話。


前回の話から時は経ち、僕もハッチバックで薄水色の可愛い車を手にした。
その昔、街中を華麗に走り回るCMでおなじみだった車だ。
大学2年も終わりかけの頃だった。
その車でたくさんの場所に出かけ、たくさんの思い出を作り、
3年になる頃にはすっかり運転に慣れ、僕の車でドライブに出かけることは
他の皆にとっても、ごく当たり前になっていた。

...そんな時期ともなると、多少のスパイスが欲しくなる。
どんなスパイスかというと、それは“ちょっと怖い場所へ行っちゃおう”という企画。
その日もそんなちょっと怖いドライビングスポットへ1年後輩のナベを連れて行くことにしていた。


その当時、ドライブ中たまたま迷い込んで発見したお寺があった。
そのお寺は少し低い山の中にあり、たどりつくまでに緩やかな坂を登る。
登りきったところには立派な彫刻が施してある寺があった。
建物の鮮やかな朱色は真夜中の山の中で月明かりに照らされ、
独特な雰囲気を放っていた。
壁や柱、扉にある彫刻は、塗り直されたばかりなのか色鮮やかだった。


へぇ、綺麗だな...。


山の中で出会えるとは思ってなかったその塔。ぐるっと見てみようとその裏側に行こうとすると、


...うっ!


突然目の前に現れる異様な光景にハッとなり、思わず足を止めることになる。



それは目の前一面に広がる無数の水子地蔵。



そう、そこは水子を供養するためのお寺だった。
その無数の水子地蔵は、塔の裏側で塔を囲むようになっており、オレンジ色の光に照らされていた。
先ほどの塔の前ではひんやりして新鮮に感じた空気も、吹きだまりになっているせいか急に生暖かく感じる。

この塔と水子地蔵のギャップに、来る者すべてがハッと息をのむため、
それを見ながら「ちょっと異様な場所でしょ?」と言いたい僕は、好んでこの場所をドライビングスポットに使っていたのだった。


この場所の話をナベにしたところ、「僕はそんな場所全然平気ですよ。」と鼻で笑う。
「お前は行ったことがないから、そういうんだよ。」
「そんなことないですって。」
「じゃあ、今から連れていってやる。」

そんなやりとりで、僕とナベはその寺に向かったのだった。
真夜中の2時は回っていたと思う。


そのお寺に到着したのは3時くらいだろうか。
それまでの道中も、ナベは散々そのお寺を「そんなお寺大したことないですよ」
「僕はビビりませんよ」と言っていた。
いつものように緩やかな坂を登り、塔の前まで行って車をつける。

車を降りると月明かりが明るく、風は全くなかった。
あたりはシーーンと静まり返り、まるで我々を待っていたかのよう。
なぜかいつもとは違う空気を感じた。

寺院の彫刻は相変わらず立派だった。
ナベもそれには納得。

...そして、塔をぐるりと回ってみる。


!!


いつもながらゾッとする瞬間だ。
無数の水子地蔵。
ただでさえ風が通らず生暖かいのに、今日は風がないせいか、さらにぼぅっと空気がよどんで感じられる。
空気だけでなく時間までもが止まってしまったような感じだ。

ナベの方をみると、やはり一瞬声を失っているようだったが、
僕の「どう?」という言葉に、
にやにやと表情を戻し、「こんなん大したことないですよ。」と強がった。


「ウソつけよ~。怖いやろぅ?」

「全然ですよ。水子なんて大丈夫ですよ」


意地でも強がってみせるようだ。



...そんなやりとりを、水子地蔵群を背にやっていた時だった。





「ああぁーー」




無邪気な赤ん坊の声だった。
山に響き渡ったあまりにもハッキリしたその声を聞いて、ああ赤ちゃんがいるのか・・・
と普通に思った瞬間、


・・・・そんなはずはない・・・・・


と現実がその思考をバッサリ切った。



夜中の3時過ぎ。そしてここは水子の寺。


顔が青ざめた。

聞いたか?という顔でナベを見ると、ナベも半笑いの顔がひきつった状態でフリーズしていた。


数秒後、思考が回転し始めてようやくヤバい!と車に駆け込んだ。

「ナベ!帰るぞ!!」

ナベも車に乗り込む。急いで出発しようとするのだが、
来る時はあんなに快調だったエンジンがなぜかかからない!!


・・・ますますヤバい!!


一気に汗が噴き出た。
心の中で、こうしてこの場所をアミューズメントに使ってしまったことを必死で詫びた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい...」

しかしエンジンはかかりかけても、すぐエンストしてしまう。
こんなのは初めてだ。

ノッキングしながらも何とか緩やかな坂にたどり着き、車は坂を転がり始めた。
今までは気付かなかったがその緩やかな坂の途中にもいくつかお堂があり、
そのお堂のなかで、ろうそくはボゥボゥと揺れながら燃え盛っているのが見えた。
今日は無風の日なのに...!
お堂の横に掲げられた旗には「水子供養」の文字。

...絶対怒っているんだ。

そう思った僕は、さらに謝り続けた。

坂道を降りながら何とか走り始めた車。僕らは怖さのあまり、とにかく人のいるところへ行こうと思った。ちょうどその時間、内田の家で麻雀をうっていることを知っていたので、内田の家に行こう!ということになった。

内田の家までの道中も必死で謝る。ナベも言葉を失っていた。
内田の家に着くと、速攻で駆け込んだ!

「み、みんな~~~!!」

「じめさん、ナベさん。ど、どうしたんっすか??」


麻雀をじゃらじゃらさせながら内田が驚いた。


「聞いてくれよ!いや実はさぁ・・・・・・」


事の始まりから、内田を含む4人に一生懸命話した。
水子の寺があること。その水子の寺なんてなべが怖くないっていうからその寺に出かけたこと。
そして、水子地蔵のところで聞いたその声の話をした時だった。

「・・・・それでさあ、ナベと話をしていたら後ろから『ああぁー』って赤ん坊の声が...」


ガラガラガラガラーガッシャーーン!!!


突然、内田ん家の食器棚から、お皿が一斉に崩れ落ちたのである。


・・・・・・つ、連れてきちまった...。


その日から内田は金縛りにあうようになってしまった。


あくる日、その話を坂梨さんにしてみた。
坂梨さんは、割と小平周辺の心霊スポットの情報をよく知っていたのだ。

すると、坂梨さんの表情が変わった。

バッカ!おまえあそこ行ったのか!!?」

「はい...?」

「あそこは危ないんで有名なんだ。オレの知り合いで霊感強い子がいるんだけど、
 みんなでそこへ行こうと自転車でその坂を登ろうとしたら、その子が
 『みんな戻って!!』って言うんだよ。なんだろうと思って、後で聞いたら
 ものすごい数の霊が坂の上から降りてくるのが見えたんだと。」

・・・・ゾクッ!!とした。

そんな場所に行っていたのか...。


それ以来、僕はその場所を一度も訪れたことはない。
また、たまにこのことを思い出す時には、心の中で謝るようにしている。




ドライブで行くスポット。たまに「そういう場所」に行きたくなることもあるが、

気をつけた方がいい。



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