忍者ブログ
□■ [PR]
2024/04/26 12:44
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


CATEGORY [ ]
pagetop
□■ 続:工場
2008/07/06 10:40
調子に乗ってまた工場の話を。



これらは私の工場関連の収集物である。

以前は工業地帯に頻繁に足を運んでいたのだが、最近はとんとご無沙汰である。
少しでもあの場所の雰囲気を思い出せたらと色々購入してみたのだが、やはり臨場感に欠ける。見れば見るほど工業地帯に行きたくなるので、最近はあまり見ないようにしている。


何故、こんなにも工業地帯に惹かれるのか。
自分でも気になって、ちょっと考えてみたことがある。


きっかけは、まうラジに投稿したとおりである。
2年目の夏合宿の帰り道、山田さんの車に乗せて頂いて国道16号線を北上しているときに、京葉工業地帯を目の当たりにして衝撃を受けた。
車中の全員が、その異様な光景に釘付けになっていた。私もだ。
鳥肌が立った。
自分の知らなかった世界だと思った。



高架の自動車道から見渡す限り、果てしなく続くかのような一面の工場群。
無機質なパイプの造形は、機能性だけを追及している。
不規則に配置された大きな電球が煌々とそれらを照らし、フォルムを魅せていた。


こういった光景は、身近な所にはない故に、見た時の衝撃は計り知れないものがある。

私は前回の記事で写真を載せたときに「非日常」という言葉を用いたが、実はそれは違う。
この「工業地帯」というもの自体は、人の生活に非常に密接な筈である。


”密接”ではない。”生活そのもの”だ。


言うまでもなく、我々の身の回りのものの多くは、それら工場で生産されたものある。そしてまた、そこで多くの人々が働いている。

なのに、実際にその製品を作っている現場はというと、生活圏からかなり遠ざけられたところにあり、しかも”生活”という響きとは真逆の空気を持ったエリアとなっている。

私は、工業地帯に訪れると、この世で人間が生きていく姿、こうしなければ生きていけないという、なりふり構わない姿を感じ、
少し切なく、いとおしく、悲しい気持ちになる。




工業地帯は、決して美しいものではない。
自然の美しさに敵うものはない。

なのに、私は美しすぎる自然の中に身を置くと萎縮してしまう。
自然を敬い大切にしたいという気持ちはあるのだけれど、工業地帯にいる方がなぜか居心地がいい。
いつ事故が起きて巻き添えを食うともわからないのに。
排ガス、排水、騒音の発生源なのに。
ひどく無機質なこの空間こそが、人の息吹なのかも知れないと思ってしまう。


とても生々しく、「生」を感じてしまうのだ。





人の「生」は、その他の生き物たちにとってはひどく迷惑なものだろう。全ての生き物は、他の生き物と共存していかねばならないのだから、お互いのバランスを崩さぬようにしなければならない。


かつて人も、自然の中で、他と折り合いをつけながら生活することが出来ていた。
里山を作り、田畑を耕しながらずーっと生活していれば、環境破壊だなんだと大騒ぎすることもなかったかもしれない。
でも、折り合いをつけられるギリギリの線を、超えずには生きられないのが人の悲しい性である。
私ももちろん、石油製品、電気、ガスをバンバン使っている。
無駄遣いをしないように気をつけてはいるが、もう、全く使わないという生活は考えられない。
他にも、合成界面活性剤入りの製品は使わないとか、マイバッグを使うとか、ゴミの分別をするなど。
私が日々やっていることはこれくらいだ。
自然と共存していた太古の昔の生活とは程遠い。




工業地帯の無数のライトの輝きを見るたび、延々と続く稼動音を聞くたび、人が原始の、またはそれに近い生活に戻るのが極めて困難であることをひしひしと感じてしまうのだ。


近年、環境問題やら温暖化が取り沙汰されている。
新聞やニュースなどで報道するのは結構だが、まるで得体の知れない怪物のようなものが環境の悪化を引き起こしているかのようなニュアンスを感じるのは私だけだろうか。
地球環境を変えてしまったのは、私たち人間だ。私たちの、今の日常生活が、環境を変化させていっているのだ。
しかし、これ以上の悪化を食い止めんがために取っている対策は、今の生活水準を維持させることが前提である。
差し迫っている割には、とても消極的である。
仕方が無いのだ。
人はもう、原始の生活に戻れるような強さをなくしてしまったのだから。




工業地帯にいくといつも思う。
人間がこういう形で発展を遂げるのを、避けることは出来たのだろうか?
現在の状況を作り出してしまったことが人の罪だとするならば、それこそが人間を生み出してしまったこの星の運命なのではないかと考えてしまうのは危険な開き直りかもしれない。

しかし、人が自らの存在を害悪と嘆き、「生まれてすみません」と卑屈になってみることに意味はない。

果たして軌道修正が出来るのかどうかはわからないが、自己満足のような「エコ活動」を、私は地道に続けていく。。
文明を放棄しようという気概を持たない私の、これが精一杯なのである。
PR

CATEGORY [ みのり ] COMMENT [ 12 ]TRACKBACK [ ]
pagetop
<<「夏の思ひ出その2」 | HOME | エコ むだな買い物はやめた>>
コメント
「美しい」
という表現が、不思議なぐらい自然に出てしまうほど、綺麗ですよね。

僕はよく、象徴的に考えてしまうとき、『ナウシカ』に出てくる、オームと巨神兵を思い浮かべてしまうんです。

広大な大自然に感動した時、オームを胸に浮かべ、

あらゆるものを飲み込む勢いの 人の建造物に感動した時は、巨神兵を浮かべる・・・・。

因みに、ナウシカのシーンで、一番好きなシーンが、巨神兵が出てきて、腐って死んじゃうまでのシーンです。なにげに巨神兵ファンなのです。

これだけ危機的な状況に陥っても、もう原始の生活には戻れない・・・。
僕も同じです。

思い切って、世界中一斉にやれませんかね?原始の生活。
案外、楽しかったりして・・・。
【2008/07/06 12:08
WEBLINK [ ] NAME [ 大五郎 #2ac029c168 ] EDIT
すっごく共感できます!!
みのりさんの文章はすごい...。

ホントはまうラジでも、上のようなニュアンスのことが少しでも言えたら良かったんでしょうけども、難しかったです...(^_^;;;
でもマジで分かります。そういう気持ち。

写真もいいですね〜。ゾクゾクします。

工場地帯好きに共感する人間が集まって「対談」てのも楽しそうですね...。(^_^)

【2008/07/06 13:42
WEBLINK [ ] NAME [ じめ #9378179d95 ] EDIT
>思い切って、世界中一斉にやれませんかね?原始の生活。
案外、楽しかったりして・・・。

大五郎さんの、この考え、
よく思います。
(^^)
考えて、考えて、
「虫だらけでいやになっちゃう!」とか
「獲物が速すぎて、捕まえられないよ!おなかすいたよ!」
と言って脱落する自分の姿を想像して・・・
想像原始の世界が終わります。
この終わり方は毎回同じです。

虫に刺されながら畑仕事をしたり、
そのへんの葉っぱを拾って歯磨きしたり、
つい想像しますが、結局原始生活に耐えられないんです。


現在、工場が占める二酸化炭素の排出量は大部分を占めていますよね。
コンビニの深夜規制をしたとしても数パーセントの削減だし。
工場がなくなることはないだろうし。
それでも、ごみの分別など自分でできることはできるだけでもして、未来に少し期待するのでした。
【2008/07/06 19:38
WEBLINK [ ] NAME [ あいぼ #5498291f51 ] EDIT
幼い頃から工業地帯と隣り合わせで育ちました。

工場地帯をいつも見て思うのは、なんともいえない物悲しさと、対峙する人間の儚さですね。

でも一人でわざわざ見に行ったりもしてしまいます。
なんだか不思議ですね、悲しいものの魅力。
【2008/07/06 21:53
WEBLINK [ ] NAME [ 夢導 #990c50abc0 ] EDIT
≫大五郎
巨神兵とオーム、重要なモチーフであります。あのアニメの中で人のエゴと自然という対極をなす物の象徴ですね。
私はよく、「寄生獣」と「もののけ姫」のエンディングを対比して考えます。
後者の、リセットボタンを押してしまったかのようなエンディングを観て、「誰か地球のリセットボタン押してくんねーかなー」と思います。
どちらかというと「寄生獣」のエンディングが好きです。あ、何が言いたいのかわかんなくなっちった!

≫じめちゃん
共感してもらえてうれしいよ。
対談、楽しいかもね!今回の皆さんのコメントを読んでいると、それぞれの見解があるのを感じるよ。
対談を含め、それこそ≪工場見学ツアー≫なんていかがかしら?

≫あいぼ
原始の生活、無理だろうねー。
平均寿命も一気に下がるだろうね。
結局人は増えすぎたということなのかな。というか、増やすことに知恵を働かせる生き物なんだよね。

≫夢導
悲しさを感じるよね。
工場群を見るとね、増殖が止まらなくなった鉄男を思い出すんですよ(アキラの)。
やっぱり定期的に工場見に行かなきゃ駄目だなー!
やっぱツアーだわよ!
【2008/07/08 23:45
WEBLINK [ ] NAME [ みのり #57551d358a ] EDIT
お話が合いますね。
「寄生獣」「アキラ」「ナウシカ」
どれもバイブルです。

家の奥さんは、いつもファッション雑誌ばかり読んでいる口で、こういう価値観を一切共有できないので、女性の人でも共感しあえる事に喜びを感じます。(ムサビでは当たり前の事なんですけど・・・)
【2008/07/09 00:11
WEBLINK [ ] NAME [ 大五郎 #2ac029c168 ] EDIT
≫大五郎
女性に限らず、男性も美術系でない人は、あまりこういう内容で共感しあえないことが多いような気がするよ。
観てはいるんだけど、思い入れはあまりないとか。

私は、幸枝先生の、「女子力」をちょっとは見習わなければいけないかもね…。
【2008/07/09 17:19
WEBLINK [ ] NAME [ みのり #57551d358a ] EDIT
今さらのコメントで失礼いたします。

同じ工業地帯ファンながら、想いは様々なのですね。
いや~それにしても素晴らしい文章ですね。
私も共感したというよりむしろ、色々と気付かされ、考えさせられたという感じです。

特に私は仕事上、お客様に
「これは・・・という意味で、環境にも優しい住宅ですよ!」
などと言ったりしているのに、自分はなんて浅はかだったのかと言う事に気付きました。

私が工業地帯に見とれている時は、大抵童心に返ってしまい、
子供の頃の、SF大好き少年に心が戻り、ただひたすら近未来の世界に想いを馳せてしまう。
思い浮かべるのは、手塚治虫の「火の鳥(未来編)」や映画「(未来世紀)ブラジル」「ブレードランナー」といったところ。

人と環境との関係にまで考えが及ぶみのりに比べ、自分はなんて単純なんだろうと、ちょっと恥ずかしくなってしまいました。

40過ぎて、建築の仕事に携わっているのに、これではイケませんよね。
でも、「原始の世界に還る」というのが、今後仕事をする上での、一つのヒントになりそうです。
【2008/07/09 18:41
WEBLINK [ ] NAME [ トシ #2a136fcbb3 ] EDIT
私も漠然とした思いしかなかったのですが、今回記事にすることで掘り下げてみたというか・・・。
きっかけを与えてくれたのは、この「まうログ」だったのだと思います。

「ブレードランナー」、わかります!
結構、映画監督や漫画家など、クリエイターにも工場ファンが多いかもしれませんよね!

実際に環境問題の打開を図っている企業や団体には頭が下がる思いです。私なんて結局考えているだけで終わってますから。他人任せですよね。。
せめて出来る限りのエコ活動は続けていきたいと思っています。
【2008/07/10 17:43
WEBLINK [ ] NAME [ みのり #57551d358a ] EDIT
みのりさん、ぜひ企画して行きたいです!工場見学ツアー。

既に色んなスポットをお知りでしょうから・・・連れてって欲しいです!
車何台かに連なって・・・楽しそう!

参加したい!って人、この指とまれ~~!!(^_^)
【2008/07/15 01:44
WEBLINK [ ] NAME [ じめ #51151ace2e ] EDIT
とても魅力的だわツアー!

私も決まったところばかり行っていたので、あまり知らないんだけど、コレを期に開拓とか…?

是非行きましょう!
【2008/07/15 22:28
WEBLINK [ ] NAME [ みのり #57551d358a ] EDIT
って、実際に行けるかどうかは別として、いいッスね。
スケッチしたい。
【2008/07/15 23:17
WEBLINK [ ] NAME [ 大五郎 #2ac029c168 ] EDIT
コメント投稿














pagetop
trackback
トラックバックURL

pagetop
FRONT| HOME |NEXT

忍者ブログ [PR]