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□■ 瞬間霊感少女:2
2007/08/23 09:00
一連の奇妙な出来事からおよそ一年が経っていた。

高3の夏。

怯えも不安もすっかりなくなっていた。



7月半ば、期末試験を終えた試験休み中の夜11時近くだったろうか、いつものように居間でダラダラとテレビを見ていた。
チャンネルはテレ朝。高校生の頃から既に周囲から「オヤジくさい」との評価を得ていた私のお目当ては、伝説の深夜番組、「トゥナイト」である。
その時間はまだ「ニュースステーション」でスポーツコーナーをやっており、スポーツに興味がない私はまるっきり聞き流していた。ふと嫌な予感がして新聞のテレビ欄を見ると次のプログラムは「大相撲ダイジェスト」。しまった、夏場所真っ最中か・・。コレがあると「トゥナイト」開始時間が遅くなるんだよな・・・。
ちょっと気が抜けた私は、暇つぶしにそのまま新聞の三面記事に目を通す。テレビのスポーツコーナーでは、夏の選抜高校野球の地区予選大会の様子を流していた。

私が通っていた高校は野球部があるものの、地区予選の2回戦でさっさと敗退していた。
大学の附属校の為、3年になっても文系、理数系に分かれることなく、すべての教科をみっちり履修し、テストがある。毎回テストが終わると完全野放し状態。その頃まだ美大を受けることなど考えてもいなかった私は、緩みきって毎日夜更かし&遅寝三昧だった。

とはいえ、観たくもない番組をつけたまま1時間以上も待つなんてカッタルイ。

しばらくザッピングをした後、諦めて今日は早めに読書(漫画だけど)しながら寝床につくことにした。



自室に入ると、ベッドに入り(その数ヶ月前に布団からベッドに昇格していたのだ)、例のごとくスタンドの明かりで寝返りを打ちながら読書(漫画だけど)。

読んでいるとだんだん眠くなってきた。
スタンドを消して寝に入った。

目を閉じると、次第に意識が遠のいていくのが分かる。

こういう、まどろみの時間に、瞼の裏に無意識に映し出されるビジュアルを楽しむのが、結構好きだ。
気味の悪い妖怪めいた物、目まぐるしく変化する幾何学模様・・・。
自分の脳が作り出したとは思えない画像を、ボンヤリした頭で半ばうっとりと堪能する。

意識が遠のいては戻ってきて、を何度か繰り返し、(お、そろそろ本眠りか?)という時、予想だにしない出来事が。

それまでモヤモヤしたビジュアルだった瞼の裏に、とある漢字二文字が「どどぉぉぉぉーん!!!」と飛び込んできたのだ。
その二文字は、



「 天 理 」





モリサワの書体で言えば「新ゴ・Ultra」。
びっくりしてハッと目を開けた。今のは何なんだ?!

あまりにも唐突で強烈なインパクトの為、心臓がバクバクしてしまった。


これは・・・。もしかしたら。
何かのお告げかもしれない。・・・でも何の?「天理」って?

・・・「天理」と言えば、「天理高校」か? あー、高校野球か?

さっきテレビのスポーツコーナーで紹介していたのだろうか?それが無意識に耳に入っていたのだろうか。それすらも自覚がない。
何度も言うが、私はスポーツ観戦に全く興味がない。天理高校が野球においてどのくらいのレベルの高校なのかも知らないが、「そんな私が知っている=かなりのレベルの高校である」ということかも、とも思った。

翌朝の新聞で調べると、天理高校は本当に地区大会で優勝していた。


とりあえず、こういうことは結果が出る前に周囲に告知しておいたほうがいいに決まってる。
意気込んで姉にこの出来事を伝えた。
姉は「ふ~ん。」と言った後、「テレビで見たのが無意識に出たんでしょ。」と素っ気無くあしらった。
終業式で会った友人たちにも言ってみたが、ほとんど同様のリアクションだった。



分かってるよ。分かってるよ自分でも。大した事じゃないかもしれないって。でもね、そう簡単に片付けられないくらいのディープなインパクトだったんだよぉぅ!
ま、しょうがない。あの衝撃は言葉で伝えきれるわけがない。

いいさ見てろよ。夏休み中に結果は出るのさ。驚いて腰を抜かすなよ。





何故か私は確信していた。天理高校が優勝すると。





そして、天理高校はどんどん勝ち進み、なんと本当に優勝してしまったのである。

あんなに自信満々だったのに、本当に優勝したらしたで多少引いてしまった私。
己の未知なる能力(多分)に素直に陶酔できない小者さが悲しい。



でも、周囲の人間にはすでに告知済み。ちょっとばかしは得意になってもいいんじゃないか?

まず姉にアプローチ。
鼻を膨らませながら「ねぇねぇ、優勝しちゃったね!マジですごいと思わない?」と言ってみた。
すると姉は、「あぁ・・・そうだね。」と言った後、私をまっすぐに見据えて、
「そういうのなんていうか知ってる?・・・・ま ・ ぐ ・ れ ☆ 」と微笑んだ。

悲しいことに、新学期が始まって再会した友人たちも、また、姉とほとんど同じ反応を示した。



何だよコイツら!よってたかって馬鹿にしやがって。実はグルか?
さすがに腐ってしまったが、それも私自身の性格が災いしてのことなのだ。
先だって竹歳さんがおっしゃっていたような「どこか陰のある人」だとか、「ミステリアス」だとかいうキャラクターとはかけ離れていることくらい私も十分自覚している。要は、そういう能力が実はありそう、という雰囲気が私には無いのだ。
無念。


ところでここでまた疑問が。

なぜ!?なぜ予知の内容が高校野球?興味もないのに?
第一予知できたところで何の役にも立たなかった。どうせなら高校野球でなく勝ち馬を予知できたらよかったのに・・・。

よ~し、お次の予知はどんなかな?
毎夜ワクワク。








煩悩にまみれた私に、お告げがやってくることは二度と無かった。












                      おしまい。
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