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□■ 英語でしゃべらナイト(2)
2007/06/11 23:59
とりあえず私たちは促されるまま荷物の段ボールに腰を下ろした。
彼女も詰め込み過ぎでパンパンにふくらんだスポーツバックに着席し、
3人輪になって紅茶を一服。出陣前のティータイム。
着席したスポーツバッグから何かメリメリと音がしたが、意には介さぬご様子。


『フ〜フン!』
彼女はさても美味そうにお茶を飲みながら、
パラパラ〜っと(言葉のわからん者には、まさにこんな感じ)叔母に話しかけた。
「このお茶はね、ロクサーヌのインドの友達が送ってくれた
 アッサムティーなんだって」叔母が通訳する。
『ユーライキッ?』
私の顔を覗き込むように首を傾げ、彼女は聞いて来た。
「イ、イエス、イエス、グッド!(サムアップ)」
満面の、作り笑顔で答える私。あぁ・・・
しばしば「日本人はシャイだ」と言われるらしいが、決してテレてるのではない。
ビビってんだよ、オレたち。アンダスタン?


正直言って本場のティーの味は解らなかったのだが、
茶の香りがどうとか、俺は上手く笑えているか?俺の笑顔は卑屈じゃないか?
等の問題はこの際どうでもよい。
ここでハッキリさせておかなければならない大切なことがある。
それは“俺は真実へと歩いているか?”では当然なく、
「この荷物は全て運ぶのか?」である。
大問題である。

私は叔母にそれを質すよう頼もうとした。
が、なんとここで叔母はトイレに立ちやがった。
ジーザス!荷物の搬出で皆が動き回っているときに行って呉れればいいのに!

ドンレットミーアロォォォォン・・・!!



・・・・・。

部屋にガイジンと二人きり。この心細さと言ったらどうだろうか。
チキンなオレに比べ、彼女は泰然として見えるが・・・


まずい。いずれにしてもこのサイレントなアイスエイジ状況を
ブレークスルーせねばならぬ。
窮鼠猫を噛む、ここで私の中の大和魂が桜吹雪を巻き上げながら噴火した。
ニイタカヤマ、ノボラざるして日本男児なるかは。

私は意を決し、深く息を吸い込んでから、玉砕覚悟で話しかけた。

『あー、あ〜・・アイキャント、スピークイングリッシュ、、、オーケイ?』
『アァハン、ュキャンスピーキングリッシュウェエル!』
『ノーノー、アイキャント、アイキャント!ソー、プリーズ、トーク、スロウリー』
『オケィオゥケィ、アイシー!』

・・・おおぉぉ!通じた!
私が海を渡った瞬間である。



まぁよく考えてみれば彼女は私のようなニホンジンに英語を教える教師なのだけれど。



私は10年来使っていない脳の奥底を引っ掻き回すように言葉をたぐり、
核心の質問を投げかけてみた。
『あー、あ〜、・・ウィル、ユー、ブリング、ゼム、オール?』
『オー!ノゥノォゥ〜、サモヴズィーザー○×△あbFつyk・・・』

(いやだからゆっくりしゃべってくれって・・・)

あぁやっぱニワカ英語じゃダメか。「何て言ったのですか」って
何て言えばいいんだろう・・・?AwaAwa(狼狽)・・・
と、そこで玄関からベルの音。誰か来たらしい。
彼女は手のひらを下に押さえるしぐさで、ちょっと待っててねとばかり席を外した。
ホっと、一息。

玄関のドアを開ける音に続いて、相変わらずの大音声英会話が聞こえてきた。
どうやらガイジンの知り合いのようだが・・・
・・・あ、え?入ってくる・・・!?
・・・あぁぁもうこれ以上欧米濃度を上げないで!


やってきたガイジンは山のように背がデカい赤ら顔の中年男性。
黒船のペルリを見た日本人が「鬼」と評したことも、むべならん。
短パンポロシャツから伸びる手足にはまっ金金のモジャ毛。
さりながら彼の雲隠れにし山の頂は、八合目から先不毛の地。
ゴッドブレッスヨァトップ、エィメン。
よけいなお世話だが。

彼女は私を彼に紹介し、シェイクハンド。
『カズハラ、ディシズ○○○、マィフレンウァォキントゥゲダインスコゥ』
あいにく彼の名前は失念した。我々にとって馴染みのあるジョージやらマイコーではなかったのは確か。そうだよな、耳慣れぬカツハルが覚えらえないのも同じことなのだろうな。
トイレから戻って来た叔母とも親しげに挨拶を交す彼、顔見知りだった。彼も同じ英会話教室の先生なのである。


ロクサーヌと彼はなにやら神妙な面持ちで話を始めた。声を落とし、眉間にしわをよせ、ときおりもうあきれたとばかり肩をすくめ天を仰ぐ。我々にとってはいささかオーバーアクション気味なジェスチュアも、こうして見れば英会話の要素の一つなのだ。
そんな彼らを見ながら叔母は苦笑している。

どうやら二人はイザコザの原因となった英会話教室のオーナーの悪口を言っているとのこと。どんだけキラわれてやがんだよ、オーナーさん。

ひとしきり経営者弾劾論陣を展開し今後の友情と共闘体制を確認した彼らは、やおら荷物を運び出した。「すわ(←死語)、引越開始か?」と思った私と叔母、腰を上げるや『オー、ステェイステェイ、イッツオゥケィ!』と制止された。2人で搬出してくれるつもりなのか知ら?いや、まさかね・・・

どうやら2人は荷物を吟味しながら選み出しているよう。
・・・なるほど、彼はロクサーヌのいらぬ荷物をもらいうけにやってきたのだった。
あぁ、ちょっと安堵。
できれば全部持ってってお呉れ!



未だ此所は群馬県。

神奈川県藤沢市は、遥か遠く・・・




to be continued....



おくれてすみません。嗚呼・・・
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コメント
これは笑いましたよ。
家で読んでてよかった。

戸惑っている時、ビビッている時の話って、なんでこんなに面白いんだろう。
つーか諸ちゃん面白すぎ。
台風の目六さんもといロクサンに、どう振り回されるのか?次回が非常に気になる!
あ、叔母様、語学センス高い方なのでは?かっこいーと思います。諸ちゃんはトラブルに引きずり込まれて、それどころではなかったでしょうが。
【2007/06/12 18:00
WEBLINK [ ] NAME [ みのり #575520bada ] EDIT
最高です。英語が苦手なのに、二人きりにさせられる状況などはよ〜〜く気持ちも分かりますよ。。
しかし何が面白いって、諸さんの書く英語のカタカナ化ですね。上手い!
ほんとそんな感じですよね・・・。

この先、どうなるのか、楽しみです!
【2007/06/14 14:07
WEBLINK [ URL ] NAME [ じめ #28833976be ] EDIT
おもしろかった。なにもかも全部。

今だに私、英語が通じた時の喜びと、緊張感を毎日体験している状況です。
なので、笑ってる余裕ないけど、、、笑っちゃったよ!
もろちゃんの心の叫びがあまりに的を得てて、うまいね。
次回もたのしみだなぁ。
【2007/06/21 08:15
WEBLINK [ ] NAME [ 名無しのまうまう #3c22fd3561 ] EDIT
『共感』タイトルは私、みわこでした。
打ち忘れです。すいません。
【2007/06/21 08:20
WEBLINK [ ] NAME [ みわこ #3c22fd3561 ] EDIT
あぁ、一周遅れのお返事となってしまいました。

>みのりちゃん
こういった状況下にある人の挙動を「どぎまぎ」って言うよね。
どぎ=Doggy?・・・犬人間の心地?
まぎ、まぎ・・・・・
あぁ、マギー史郎しか思い浮かばないや。
この逆境を乗り越えるタネも仕掛けもない犬人間の私。
国際交流って本当大変ですね。
・・・えぇ、一体何を言ってるのだろうね、私は。

>じめ
オレほんと思うんだけど、国語と外国語を並立して尊重し学んでいくためには、よりフレキシブルな英語のカタカナ表記法が必要だと思うんだ。
ちっちゃい“タ”とか、“エ”に濁点とか。
例えば企業名も『エァポゥカンピュタジァェペァン株式会社』とかの表記で。
あれま、とてもウザイね。

>アノニマスなみわこさん
文中フザけて書いてはいますが、あの通じた瞬間はほんっっっとうにうれしかった記憶があります。
必要にかられると、結構イケるもんなんですね。
目の前に居る人と通じ合う必要性、
それがあるよろこびをこそ、大事にしたいものだと思いました。

あれ・・・?でもみわこさんってニィダァルァンド(オランダ)ですよね?
やっぱ、英語は国際語なんですな。
【2007/07/05 23:40
WEBLINK [ ] NAME [ もろ #9378a2f557 ] EDIT
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