先日、我が家に荷物が届いた。
見慣れた「amazon」のパッケージ。
ただ、今回はいつもと違って箱が大きい。中身がCDや本でない事は明らか。
「おお☆」と相好を崩しながら包みを開け始める、発注者である旦那。
おもちゃ雑誌、トイザラス大好き人間が発注したものだけに、中身の非生産性、刹那的娯楽性を感じ取り、かなり冷静になってしまっている私。
非常に対照的な二人の間で荷をほどかれ、姿を現した中身にはこう書かれてあった。
「いえそば」

タカラトミーが発売している玩具(?)なのだが、家庭で本格的な蕎麦が打てる道具一式らしい。
そういえば数日前、旦那が私に、コレについて書かれている雑誌の記事を見せてきたことがあった。ああ、あれは(コレを買いますよー)という軽い先制攻撃だったのか。
どちらかと言えば、いや、かなり生産的。使用者次第では継続使用可能。喉元まで出掛かった否定的な言葉を飲み込む。
「お父さん何それ?」と食いつく息子。「コレで美味しい蕎麦が打てるんだよ。」同胞を得て調子が上がる旦那。
蕎麦好きの二人は嬉々として、大いに盛り上がっている。
対するはどんどん醒めていく私。なぜって私は完全な「うどん派」。
どうしよう、この如何ともしがたい温度差。
ま、一人で盛り下がっていてもしょうがない。考えてみれば、いきなり本格蕎麦打ち道具一式なんかを買い揃えられるよりはずっとコンパクトで収納にも困らなくていいかも。一緒に蕎麦を打てれば、息子も喜ぶだろう。
その週末、早速蕎麦打ちに挑戦。昼食用にと11:30頃から取り掛かる。
何でも、蕎麦打ちで一番難しいのが、最初に粉に水を均一に馴染ませること(水回し)らしい。
職人でもその技を身に付けるのは困難だそうで、水回しが一人前になるまでに3年はかかるとか。
この「いえそば」は、その難しい水回しを、いとも簡単にやってのけることが出来るらしいのだ。
なんて書くと胡散臭さ満点になってしまうが、実際はどうだったのか、以下、写真付でご報告いたします。

1.まず、装置上部の、ボウル上の大きな窪み中央ににプロペラを装着し、蕎麦粉6、小麦粉4で配合した粉を入れる。

2.蓋をかぶせてハンドルを回す。ハンドルと連動したプロペラが回り、粉を攪拌。

3.蓋の凹みに水を入れ、すかさずまたハンドルを回す。凹みにある3つの小さな穴からポタポタ水が落ちるため、少しずつ、均一に水を含ませられる。

4.50回くらいハンドルを回し、「え~まだボソボソじゃん!」ていう状態だけど、とりあえず別のボウルに中身を移し、手でこねてまとめる。
5.「ちょーコレ無理だよまとまらないってー」と言いながらこねていると、なぜか生地がまとまってくる。

6.まな板の上でこねる。あくまでも短時間で。ひび割れも無く、べとつかず、とてもいい状態の生地。

7.「いえそば」本体を横倒しにして、ローラーを取り付ける。(写真はローラー取り付け前)


8.細長くまとめた生地をローラーで伸ばし、打ち粉を振る。


9.ローラーを、製麺用カッターに取り替え、伸ばした生地を通して麺にする。


10.たっぷりの湯で茹でて、冷水に取り軽く洗って引き締めて出来上がり。

真剣に蕎麦を打つ二人の周りでチョロチョロ動き回って写真を撮る私を鬱陶しそうに見る旦那。
いや、私だって遊んでいたわけではないですよ。ちゃんとそばつゆ作ったし(ヤマキめんつゆとカマダのだし醤油を2:1で混ぜたものを適当にうすめたもの)。

作ってねーじゃんとか言わないで。
結論。
味は、思いのほか本格蕎麦。というかかなり美味しい。初めて作ったにしては、手間取ることもなくかなり簡単に出来た。
出来上がったのは12:20頃。この商品の売り文句は「20分で蕎麦が出来上がる!」なのだけれど、4人前作ったのだから、ま、しょうがないか。
予想外の発見は、そばつゆの旨さ。既製品を混ぜて薄めただけなのに、大げさでなく、老舗の蕎麦屋に負けない味になった。なかなかやるじゃん
アタシカマダのだし醤油!
気を良くして、翌週また挑戦。今度は蕎麦粉を7割にしてみたが、やはり繋ぎが少なくなったためか前回のようにはいかず、茹で上がりの蕎麦はすべて4~5センチの長さに千切れていた。
箸では全くつかめず、でかいスプーンで蕎麦猪口にすくい入れ、フォークでかっ込む。すするなんてとんでもない。
とても蕎麦を食べている光景には見えなかった。味が絶品だったのでかえって悔しさをそそられた。
蕎麦粉の割合を増やしていくのはやはり難しいらしい。ネットで調べたのだが、私が買った更科粉(そば殻が入っていない白っぽい蕎麦粉)はつながる力が弱く、またシロウトは小麦粉もグルテンが多い強力粉で作るほうがうまくいくとのこと。あー、こうやって問題点を見出し、解決するするべく対処法を探し、さらなる旨い蕎麦を目指す。蕎麦好きが蕎麦打ちに嵌っていってしまう心理がわかるような気がした。
こんなお手軽商品で蕎麦打ちを極められるとはもちろん思っていないが、この値段 (¥9,440-税込、amazon価格)で、あの茹でたての美味しさを味わえるなら、レクリエーションも兼ねられてかなりお得だと思った。
何より、自分がちょっと蕎麦派寄りになったことに驚いた。何事も試してみるものですね。
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