今年はお泊りが多い年だった。
旅行はもちろん、法事に帰省にお呼ばれに。
何回スーツケースに荷物を詰めたことか。
ま、JIME氏の移動距離と回数には足元にも及ばないのだが。
これまでの我が家のペースでは考えられない回数だったのだ。
最後の締めくくりに、12月の最初の土日、長野は別所温泉に行ってきた。
なぜその地を選んだか。
実は、夫婦で今年のNHKの大河ドラマ≪風林火山≫に嵌ってしまったのだ。
ゆかりの地を訪ねようツアーである。
そうです私はミーハーです。
ゆかりの地に広がる寺、神社、城を見まくり、温泉に浸かりまくる!これが今回の旅行のコンセプトだ。
しかし、沖縄旅行のときにも感じたことだが、世の皆様は旅行のご予約をなさるのが、めちゃくちゃ早いですね。
9月半ばには、11月中の休前日の予約はすべて埋まっていた。
旅行会社にとって、秋の旅行シーズンは書き入れ時だ。
紅葉に、味覚をメインにと、押し所がたくさんあるのだから当然だ。ツアー商品もたくさん出るから、利用者もそれを狙って発売と同時に申し込みをするのだろう。
余裕をぶちかましていた私はすっかり乗り遅れてしまった。
本当は11月23日からの3連休を狙っていたのに。
3連休だったら、一泊旅行をして最後の一日を休養にまわせたのに。
11月中だったら、現地の寺めぐりのシャトルバスも運行していたのに。
ちくしょうめ。ううん違う、私がイケないの。馬鹿みたいに油断していたら・・・。
そして泣く泣く翌週末(12月1日、2日)へと延期した。
出発の数日前から天気予報をチェック。最低気温が氷点下なのを知り、怖気づいた私。
服装は寒さ対策として完全に重装備にした。使い捨てカイロも忘れなかった。
当日、10時過ぎにのんびり家を出発。東京駅に11時15分に到着。
生まれて初めて新幹線に乗る息子はかなりハイテンション。
特急電車(レッドアロー号とかあさぎりとか)には何度も乗っているので、大差ないのに何をそんなに喜んでいるのだろうと思っていたが、どうも彼は、新幹線乗車と駅弁購入はセットだと思い込んでいたようで、人生初の駅弁を買う→乗車後すぐに食すという一連の行為でテンションの最高潮を迎えてしまっていた。
1時過ぎに長野県の上田駅に到着。新幹線の、長野駅の一つ手前の駅である。
万全の寒さ対策で乗り込んだが、東京と大差ない気温に拍子抜け。マフラーが邪魔だ。
本来なら上田駅から上田電鉄に乗り換えて終点別所温泉駅に行くところなのだが、ちょっと寄り道を。その短い路線の間に広がる「塩田平」と言われる地帯は、数多くの古刹が林立しており、”信州の鎌倉”ともいわれる場所で、寺めぐり散策にはうってつけなのだ。
林立する古刹は散歩道でつながっており、そのスタート地点の寺までタクシーで乗りつける。
以下がその写真。
確かに午後2時を過ぎてはいたけれど・・・
人が・・・
人が・・・いない・・・
あ、いた! 一組だけど・・・
日も暮れて、写真は画像補正しないと真っ暗で判別不可。(カメラの性能が低いから。)
さ・・寂しいぃ!
この寂しさ、たまんないっ! あー、グッと来る・・・。
12月になり寺めぐりのシャトルバスツアーが無くなっていたため、観光客がほとんどおらずとても寂しい散策路となっていた。
年を重ねると、こんなにも侘び寂を堪能できるようになるとは。
人がひしめき合う古刹なんてちょっと台無し。これは日にちが延期になって結果オーライと言っていいだろう。
(写真は、順に前山寺、龍光院、塩野神社、前山寺、安楽寺2枚、北向観音)
寺を見終わってまたタクシーで宿へ。宿は重要文化財指定の建物。木造4階建てである。
中に入るとロビーから畳敷き。ちなみに廊下、階段も畳敷き。
挙句の果てに、大浴場まで畳敷き(化学繊維だけど)。
滑らない、冷たくない、転んでも痛くないと客に好評だとか。
しかし思わぬ落とし穴だったのだ、風呂イス。
まさか漆塗りではなかったとは思うのだが、座面がツルツルし過ぎて、泡のついたお尻ではスケートリンク状態。洗っている最中に水平移動し、どてーん!と尻餅をついてしまった。周りに誰もいなくて良かった。
やはり夜になるとピリリと寒い。
温泉の温かさが身にしみる。
夕食の前後に入浴し、朝風呂にも入りたかったので夜は早めに床に着いた。
しかし、アタイは翌朝、やっちまった。
午前6時、起き抜けに寝ボケ眼のまま大浴場へ。
昨夜は社員旅行組の宴会真っ最中に入ったので貸切状態だったが、朝は皆さんアルコールを抜きにこぞってご入浴。私がはいるときに3人の若い女性とすれ違った。
浴場にはまだ1人居て、私が湯船に浸かっている時に出て行き、入れ違いにまた別の女性が入ってきた。
存分に温まり、脱衣場へ戻る。
体にタオルを巻いたまま、ドレッサー前のスツールにどっかり腰を下ろす。
常備されているアメニティーを使ってみたり、綿棒で耳掃除をしたり。先だっての女性はすでにいない。1人きりをいいことに「うぃ~」なんて言いながら完全にリラックス。
さて浴衣を着ようと脱衣籠に手を伸ばすと・・・見覚えのない浴衣が。(この旅館は女性は好きな柄の浴衣を選べるのだ)
確かにさっき、この籠から私はタオルを取ったのだが・・・
・・・・・?!
次の瞬間青ざめた。
その脱衣籠は、昨夜私が使用した場所のもの。
たまたま後から入ってきた女性が使い、中に物が入っていたため、勘違いしてそこからタオルを取ってしまったのだ。
それからの私の動きは速かった。
目にも留まらぬスピードで自分の浴衣と丹前を羽織り、帯もせず手で抱え込むように押さえて浴場を出て猛ダッシュ。
端から見たら犯行直後の露出狂である。
廊下を暴走し部屋へ駆け込むと未使用のバスタオルを掴んで再び浴場へ。
脱衣場へ入るときが一番緊張した。
女性がタオルが無いのに気付いて困っていたらどうしよう・・・。非常に気まずい。
幸いまだ女性は上がってきていなかった。
何事も無かったかのようにバスタオルを彼女の籠に置き、荷物を持って退出した。
馬鹿馬鹿馬鹿!私の馬鹿!
本当にごめんなさいあの人!
完っっ全に目が覚めた。
馬鹿なミスを犯した己を恥じた。しばらくブルーだった。
翌日は上田駅周辺から長野駅に広がる寺、城などを観光タクシーで周る。
午前9時30分、外は霧が立ち込め、曇天との境が無いような状態。
盆地である長野では日常的なことで、霧の朝は日中の晴天の証だとか。(タクシー運転手さん談)
地元の人の言う事は間違いない。走行するうちに徐々に霧が晴れ、(あー、武田信玄がきつつき戦法を見破られた時も、こんな感じで霧が晴れていったのか・・・。)などとにわか歴史ファンよろしく安っぽい感慨に耽っていた。
生島足島神社
上田城
海津城
ことごとく人が少ない。海津城はゼロ。大河ドラマはまだ放映中ではないか?
オプショナルツアーがなくなると、誰も見向きもしない場所なのだろうか。
まぁ、独り占めできてうれしいのだけれど。
最後の善光寺はさすがに人が多かった。
一年近く続いていた改修工事が2~3日前に終わったとのことで、三下門が覆いを取られていた。
今年は異常気象のせいか、紅葉もいつもと違って、あっという間に葉を落とすかいつまでも紅葉し続けるかのどちらかだそうだ。
おかげと言ってはなんだが、出遅れた観光客も紅葉を見ることが出来た。
異常気象を喜んではいけないが。
運転手さんによると、やはり11月中は観光客が多いとのこと。
不本意な日にちの変更だったが、人ごみを嫌う私にとっては、今となっては実は幸運だったのではないかと思っている。
ホント、温泉旅行は12月がおススメですよ。
しみじみ堪能できること請け合いです。
でも、くれぐれも脱衣場の取り違えにはご注意です。
PR