忍者ブログ
□■ [PR]
2024/03/28 23:48
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


CATEGORY [ ]
pagetop
□■ ここがヘンだよ!?日本の建築行政 その①
2007/07/02 03:55
建築事務所という私の仕事と、切っても切り離せないのが、建築基準法やそれに関係する都市計画法、消防法、その他諸々の法律・政令・条例・国土交通省告示などの関連規定(「建築基準関係規定」と呼ぶ)。それと、それらに基づき、審査・指導などを行う行政機関(主に市や県)。

日本で、なにか建物を建築しようとする場合、必ずこれら建築基準関係規定に適合していなければならない。
建築する前に、その建物が適合かどうかを審査してもらうために、書類や図面などを提出して申請するのが「建築確認申請」。これは特定の場合を除き、必ず行わなければならない申請。これ以外にも、その地域・地区によっては、「○○法第○○条による許可申請」とか「○○地区内行為の届出」といった具合に、色々な申請をしなければばらない場合がある。
運が悪いと、家一件建てるのに、4つも5つも申請をしなければならないこともある。とても面倒だ。

でもって、さらに面倒なのが、法律などの条文がすごくわかりにくくつくられていること。
大体、○○法という法律があるとすると、○○法施行令という政令がセットされていて、さらに○○法施行規則というのまで付いてきたりする。
で、それらの条文にはやたらと大カッコ・小カッコが多用されてたりする。

例えば、ある○○法施行規則第1条に「法第2条による・・・は令第3条に定めるものを除き・・・とする」とあるとすると、政令第3条には、「・・・であるものおよび、法第4条、法第5条に定めるもの(第6条〔ただし法第7条および法第8条による場合においてのみ準用〕ならびに第9条による場合にかぎる)以外のものとする」なんて書いてあったりする。

もう、いくつもの条文を行ったり来たり、さらに二重否定だったりで、チンプンカンプンである。

こんなまどろっこしい表現をせずに、ひとつの条文ですべてわかるようにすればいいのに。
他国の法律なんかもこんな感じなのだろうか?
日本で活躍している他国の建築家も数多くいるが、彼らはこれをどのように理解しているのか、非常に興味深いところだ。

さらに、建築の場合、その敷地と道路との関係や、意匠、用途などの組み合わせに、無限のパターンがある。法文に照らし合わせて、どう判断すべきか難しいケースもある。

やっかいなのは、行政がその判断をする際、指導的要素を含めて行っており、それが地域によって異なったり、さらには同じ行政機関の中でも担当者によって異なったりすることである。

例えば、バルコニーでその床がスノコ状になっているもの。
たいていの場合、そのような雨がもれてしまうような、屋根としては機能し難い形状だと、屋根とはみなさないので建築面積には算入しなくてもよいとされている。
建蔽率の厳しい都市型の狭小物件にとっては、大変ありがたい配慮なのであるが、これが同じ都内でも認められている地域とそうでない地域とがあるのだ。
わが母校のある地域も後者に含まれる。

つまり、同様の敷地に同様の建物を建てても、立川市ならOKだが、小平市では違法建築物とされてしまうこともあるのだ。


建築を生業としている我々にとって、これらは実に面倒なことなのであるが、一般国民にとっても理解しがたいものであると思う。
極端な話、「この土地にこんな家を建てたい」そんな夢を持って買った土地に、思い通りの家が建てられないということになってしまうことも起こり得るのである。

法文の簡潔化と行政判断の全国統一化を切に願う今日この頃である。
PR

CATEGORY [ トシ ] COMMENT [ 6 ]TRACKBACK [ ]
pagetop
<<粋に歩く | HOME | 翼の栄光>>
コメント
プロの方にしか分からない、内幕というか裏側というか、いろいろ大変なことが多そうですね。
何も知らないシロウトである客と、融通の利かなさそうな行政との板挟み。ご苦労も絶えないのでは?
自治体によって制度が違うとか、担当者によって判断が異なるとか、読んでいて「へぇ~!」でした。
夢は自分で設計&新築ですけど、それは無理だろうなぁ・・・。トシさんうらやましいです!
【2007/07/03 18:10
WEBLINK [ ] NAME [ みのり #57551f726f ] EDIT
>みのり
逆にそこがプロとしての腕の見せ所だったりもします。
確認申請については、姉歯事件などで周知の事と思いますが、数年前から民間でも行っており、行政はダメでも民間ならOKという場合もあります。またさらに、民間で一度許可を下ろしたものを、行政がその権限を行使して、差し戻しをすることもあるそうです。

幸い私には、民間の検査機関に知り合いがいるため、そういった情報が比較的入りやすいです。

もし何かあれば、遠慮なく私にご相談くださいね。
【2007/07/03 23:24
WEBLINK [ ] NAME [ トシ #991eb62fbe ] EDIT
トシさんの解かり易い文章なら、僕にも解かります。
几帳面さ、曖昧さ、頭硬さ、いろんな要素ですが、やはり国民性なんでしょうかね?
僕だってこの年になって、選手会の嘆願書なんて、柄にも無い改まったものを書くと、気がつくとやたら回りくどい文章になってて、唖然としますもん。(読み返して、何言いたいんだったっけ・・・みたいな)

面白いですよね!!トシさんのその「外国人建築家がどう受け止めてるのか?」っていうのは興味深いです。

映画「選挙」に対する、外国人の反応と、シンクロする部分がありそうです。

凄く 丁寧で美的感覚も優れているのに、コミュニケーションの方法が、やたら回りくどいんですよね・・。日本人って、 そんな僕もしっかり日本人。 この町並みは、そんな日本人の国民性を映し出しているんですかね?
【2007/07/03 23:44
WEBLINK [ ] NAME [ 大五郎 #2ac029c168 ] EDIT
本職のトシさんでさえ分かりにくいなら、

ボクら一般人には条文とか全く???は当然ですね。

こういったお話しを分かりやすく書いてもらえるのって

ためのなるし面白いです。また、お願いします。
【2007/07/04 13:53
WEBLINK [ ] NAME [ カワイ。 #9b1d3fd83a ] EDIT
いやぁ、興味深かったです。プロとして腕の見せ所ということですが、
しかし大変そうだなぁ...ってのが正直な感想ですね。
本当はこうしたいのに!ってのがある地域では通らないってのは
なんだか悔しいですよねー。
【2007/07/04 19:11
WEBLINK [ ] NAME [ じめ #2abe8dfde7 ] EDIT
>大五郎
法条文がこのように回りくどい表現になってしまったのは、昭和25年に建築基準法ができて以来、震災とか大きな台風とかの天災や、規制緩和などの国政の方針によるものや、またシックハウス症など、色々な問題が起こるたびに法改正を繰り返してきたことが大きな要因だと思われます。
場当たり主義的な日本の政治家の性格が表れてしまったように思えてなりません。

>カワイ
面白いと言って頂けると、ホントに書いて良かったと思います。
正直私も、普段の仕事に関わる部分の条文は充分理解してても、大規模な建物などに関する条文などは今一チンプンカンプンです。

>ジメ
そうなんです。結構過去悔しい思いをしてます。次回はその辺を少しご紹介できればと思ってます。
【2007/07/06 01:57
WEBLINK [ ] NAME [ トシ #991eb62fbe ] EDIT
コメント投稿














pagetop
trackback
トラックバックURL

pagetop
FRONT| HOME |NEXT

忍者ブログ [PR]